神奈川県で起きている異臭騒ぎの原因は?
最近、神奈川県の三浦半島付近一帯(主に横須賀市、逗子市、横浜市、三浦市)で異臭騒ぎが頻発しています。おそらく最初の異臭騒ぎと思われるのが2020年6月上旬だと思いますので、それから5ヶ月近く経過している現在もなお異臭騒ぎが収まっていないということで、今回の異臭騒ぎの異常性が推し量れます。
少なくとも、イタズラや工場の排気ガス、海上のタンカー等による人為的なものが原因とは考えにくいと思うのです。ネット上では「巨大地震の予兆」ではないかという指摘が多く見られるようになっているのも、消去法で考察すればもうそれしか残っていないということなのかもしれません。「異臭=地震の予兆」と決めつけるのは短絡的すぎるとは思いますが、やはり三浦半島周辺の地下で何か異変が起きているという可能性が高いのではないかと思わざるを得ません。
私は、ネット上で専門家のお二人のコメントに目が止まりました。
立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏
『活断層が割れたり、プレートがこすれて剥がれたりすると異臭がする。三浦半島と房総半島南部は活断層が地表に露出していて、活断層の岩が割れれば異臭がするはず。』
『三浦半島と房総半島の間の東京湾の海底にある相模トラフ。これが北米プレートとフィリピン海プレートに接し、ひずみが蓄積され、やがては『海溝型地震』につながる。関東大震災もまさしく、相模トラフから発生した海溝型地震。』
『今回の異臭の原因は不明だが、ラドンであれ、圧迫されて出た天然ガスであれ、岩石がこすり合って出る焦げたような異臭であれ、地殻変動に関わる可能性がある。異臭自体に焦点を当てるより、5月に起きた東京湾の群発地震など海溝型地震の前の兆候とみられる一連の現象の一部と見た方がよい。』
『三浦半島には活断層が多いしガス田もある。活断層が動いて、地下深くのガスが漏れてきた可能性もある。いずれにせよ、東日本大震災以降、日本の地下は非常に静かな状態から普通の状態に戻り、あちこちで地震が頻発しています。今回の異臭騒ぎも大地震の前兆現象の一つと考えていいと思いますね。』
過去の大地震の前にも異臭が発生していた
巨大地震発生前に異臭が発生するということがあるのか?これについて調べてみると、実は、関東大震災や阪神・淡路大震災が起こる前に異臭が発生したという記録が残っています。一方で、東日本大震災のときには、異臭が起きたという記録は見つかりませんでした。つまり、全ての地震に共通する予兆ではないものの、関東平野の南部のように地下のガス田が広がっているような地域では、地震の兆候と言えるのかもしれないと思えてきました。
南関東に広がるガス田について
関東天然瓦斯開発の公式ホームページによると、同社が開発している南関東ガス田は、千葉県を中心に、茨城・埼玉・東京・神奈川県下にまたがる広大な水溶性天然ガス田です。この南関東ガス田は可採埋蔵量が3,685億m³にも達する、わが国最大の水溶性天然ガス田です。ちなみに、水溶性天然ガスは、微生物起源のメタンガスが、地下の地層水に溶解しているものです。
上記の南関東ガス田分布状況を見ると、今回、異臭騒ぎが多発している三浦半島は近くではあるものの重なっていないことがわかります。これをもってガス田からのガス漏れ説を否定するものではありません。いや、それどころか高橋学教授が指摘しているように三浦半島と房総半島南部に存在する活断層の分布状況によっては、ガスが三浦半島で漏れ出すこともあるのではないかと思えてきました。
巨大地震の予兆かどうか!?
以上のことから、今回の三浦半島周辺で発生している異臭問題が、これから起きるかもしれない巨大地震の予兆であると断定することはできませんでした。
ただし、島村英紀氏や高橋学氏が指摘するように地下で何らかの異変が起きている可能性は高いと言わざるを得ません。これらの警鐘が杞憂に終わることを願う一方で、大震災への備えだけは怠ってはならないと思いました。
今こそ地震に対する備えを!
今、日本では多くの研究者たちが必死になって大地震の発生を少しでも早く予知して被害を最小限に留めることができるように・・・と奮闘しています。彼らの警告は真摯に受け止めて、当たり外れを問題にするのではなく、国民一人ひとりが防災に対する意識を高くもって、いざという災害時に備えることが寛容です。
彼らの研究を無駄にしないためにも、そして、私たち一人ひとりが命を大切にして生き抜くためにも!
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相次ぐ異臭騒ぎは「スーパー南海地震」の前兆? 過去の大地震でも前例 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)
相次ぐ異臭騒ぎは「スーパー南海地震」の前兆? 過去の大地震でも前例
神奈川県内で原因不明の異臭騒ぎが続いている。今年6月頃から始まり、小泉進次郎環境相の地元・横須賀市や、ついには菅義偉首相のおひざ元の横浜市でも発生した。首相の自宅タワーマンションから約1キロ離れた場所からも“異臭通報”があったのだ。10月12日には、首相の自宅タワーマンションのほど近い場所からも"異臭通報"があった。
【3大都市で地震の確率が高い自治体/今後大地震が起こる可能性が高い自治体上位30はコチラ】
横浜市消防局によると、同日に市内の中区、神奈川区、西区などから16件の通報が相次いだ。JR横浜駅付近からの通報もあり、駅構内では一部改札口で20分ほどの入場規制がなされる事態となった。こうした異臭騒ぎの中で、消防局員が臭気サンプルを1件採取できたといい、解析を進めている。
横浜市環境創造局大気・音環境課によると、異臭通報が10月1日に10件、3日に25件、5日に3件、6日に1件あったという。
「ゴムの焼けたような臭いというのが一番多いですね。シンナーみたいな臭い、ガスのような臭いという通報もあります」
横浜市の本牧でも同1日と3日、異臭騒ぎがあった。地元で50年以上商売をしている「長田商店」の長田幸一さん(73)が話す。「ちょっと焦げ臭かったので家の周りを点検しましたが、何事もありませんでした」
異臭のしたエリアは本牧通り沿いで、元は米軍の兵士たちの宿舎があった。輸出入衣料雑貨「本牧OZ」の店主の野田栄さん(66)は言う。
「午後5~6時頃に両日とも臭いがしました。化学薬品を混ぜたような嫌な臭いでしたね。これまでかいだことのない臭いで、気持ちが悪くなって、早めに店のシャッターを下ろしました。この辺は海から歩いて10分くらいなので、海から東風に乗って臭いがやってきたのかもしれない」
青潮の影響だとする説や、海上にいるタンカーのガス説……など情報が飛び交う。釣り舟の船長は海の様子をこう語る。
「今年は赤潮を3回ほど見ましたが、10月には赤潮も青潮も見かけなくなりました。どちらの臭いも、ガス臭いとかコゲ臭くはないですよ」
そんな中、立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は、異臭騒ぎは巨大地震の予兆だ、と警鐘を鳴らす。
「活断層が割れたり、プレートがこすれて剥がれたりすると異臭がする。三浦半島と房総半島南部は活断層が地表に露出していて、活断層の岩が割れれば異臭がするはず」
過去にも地震発生前、異臭騒ぎが起きたという。「1923年の関東大震災の後、内務省がまとめた文書の中に、三浦半島の城ケ島と浦賀で異臭騒ぎがあったということが記録されている。95年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災の前も異臭があった」
高橋教授は、今後も異臭が続くと予想する。三浦半島と房総半島の間の東京湾の海底にある相模トラフ。これが北米プレートとフィリピン海プレートに接し、ひずみが蓄積されているというのだ。
「そのプレートがこすれ合い、やがては『海溝型地震』につながる。関東大震災もまさしく、相模トラフから発生した海溝型地震」と高橋教授。相模トラフの異変で首都圏直下型地震が起き、「首都圏だけでなく西日本や台湾、フィリピンまで一蓮托生(いちれんたくしょう)の『スーパー南海地震』が起きる。そうなれば東京五輪どころではない」。スーパー南海地震は、津波だけで47万~50万人が死亡するとされる。異臭騒ぎをきっかけに、震災への備えを改めて確認しておきたい。(本誌・上田耕司)
※週刊朝日 2020年10月23日号
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三浦半島で謎の異臭 「南海トラフ地震の予兆か」と地震学者 - 記事詳細|Infoseekニュース
日本だけでなく世界中の地震観測データを日々分析し、微弱な震動や噴火等から「来る大地震」を予測してきた著名な地震研究家から、本誌・週刊ポスト記者に緊急メールが届いた。神奈川県の三浦半島で、巨大地震の兆候が現われたのだという。
「変な匂いがあたりに充満している」
6月4日、三浦市や横須賀市で、異臭を訴える119番通報が夜8時から2時間ほどの間に150件以上寄せられた。
「“ゴムが焼けるような匂いがする”という声が多かった。気分が悪くなり緊急搬送された方も1人おられます。火災の危険があるかどうかを調べたのですが、結果として都市ガスの漏れなどは検知されず、原因不明のまま調査は終わっています」(横須賀市消防局指令課)
この異臭について「巨大地震の前兆の可能性がある」と警鐘を鳴らすのが、立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授で地震学者の高橋学氏だ。
地形変動や気候変動の知見から20年以上にわたり地震を研究してきた高橋特任教授は、2016年10月に阿蘇山が36年ぶりとなる爆発的噴火をした際、その1年以上前から九州地方の火山活動の活発化を察知、メディアで警告を発し続けた人物である。
そんな高橋特任教授が長年注目してきたのが、「匂い」と巨大地震の因果関係だ。
「1970年代に大阪市立大学の研究チームが岩石に人工的な圧力をかけて破壊する実験を行なった際、こげくさいような独特の匂いが発生することが確認されており、現在では地震発生前や斜面崩壊前に確認される現象として知られています。1995年の阪神・淡路大震災が発生する数か月前にも、神戸市東部でこのような異臭が確認されました」
高橋特任教授によれば、大地震は突然起きるわけではなく、本震が発生する数か月ほど前から地盤が割れたり、プレート同士が密接している部分(固着域)が剥がれたりといった現象が水面下で進行しているという。
その上で、今回の異臭騒ぎが三浦半島を支えるプレートの異変を示している可能性を指摘する。
「三浦半島や東京湾を挟んで対岸にある房総半島南部の周辺には活断層が多く、東京湾口には『相模トラフ』が存在します。相模トラフは北米プレートの下にフィリピン海プレートが潜り込む形で摩擦により固着しているのですが、フィリピン海プレートによる圧力が強くなると、固着域が剥がれていき、それに伴い岩石が崩壊する。それが今回の異臭騒ぎの原因となった可能性があるのです」
「スーパー南海地震」の可能性
この1~2か月、各地で地震が頻発している。5月20日から22日にかけて、東京湾を震源とする地震が7回発生。中部地方では4月22日から5月13日にかけて長野・岐阜の県境を震源とする地震が88回発生し、福島県沖や茨城県沖、千葉県北東部、四国の紀伊水道などでも5月以降、震度4を超える地震が頻発している。
6月16日には千葉県南部を震源とするマグニチュード4.2の地震が発生した。気象庁の統計によれば、直近1か月(5月14日~6月14日)の全国の地震発生回数は211回。1~2月の2か月間で発生した地震は計219回で、急増は顕著だ。
「とくに茨城から西日本にかけて多発している地震は、全てフィリピン海プレートの影響で起きていると考えられます。その最中に三浦半島で異臭騒ぎが起きたので、警戒心が一層強まりました」
そう語る高橋特任教授は、一連の地震や異臭騒ぎが、懸念されている「南海トラフ地震」の兆候である可能性を指摘する。
「政府が『30年以内の発生確率70~80%、想定死者数32万~33万人』と予想する南海トラフ地震ですが、私はフィリピン海プレートが影響する地震は全て連動する可能性があると考えています。西日本の南海トラフだけでなく、相模トラフ、そして沖縄トラフが全て連動した超巨大地震『スーパー南海地震』が起きる可能性があるのです。
この地震が発生した場合、私が東日本大震災のデータをもとに計算したところ、47万人以上の死者が出る。引き続き各地の揺れを分析し、警戒を強めていくつもりです」
未曾有の災害は、いつ起きてもおかしくない。
※週刊ポスト2020年7月3日号
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横須賀市でまた異臭騒ぎ 検出されたのは硫化水素か|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト (tv-asahi.co.jp)
横須賀、横浜周辺の異臭騒ぎ。検出結果と発生源の諸説を化学の目で解説