2021年8月中旬、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火し、大量の軽石が発生した。沖縄県や鹿児島だけでなく、最近は東京・伊豆諸島でも漂着を確認。 【画像】予知できない噴火災害を後世に伝える理由 特に三宅島では、軽石の侵入を防ぐための「オイルフェンス」を設置した影響で漁に出られない状況が続いている。地元の商店にも島の魚が入荷せず、住民の生活に影響が出ている。 政府は10月下旬の会見で、福島県まで影響が広がる可能性を指摘していて、今後 福島県の海岸にも流れ着くおそれがある。 防災士でもある福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士は、「軽石の漂着に黒潮の流れが関係している。黒潮の流れを見ると、茨城沖から福島沖は、沿岸から離れて進んでいくので、福島県沖で操業する漁船や航行する船には影響するかもしれない」と話す。 そのため福島県内でも対策が進められている。 廃炉作業が進められている福島第一原発の5号機と6号機の燃料貯蔵プールでは、燃料の冷却に海水を使っている。 この設備に軽石が詰まると壊れるおそれがあるため、東京電力は港湾にフェンスを追加する準備などを進めている。 海底火山であっても、私たちの生活に大きな影響を与えるケースがある。防災マイスターの松尾一郎さんに話を伺った。 東京大学大学院客員教授 防災マイスター・松尾一郎さん: 例えば歴史的に見ると、阿蘇山が噴火したときは、火砕流が西日本広域に覆ったんです。それほど火山というのは、大規模噴火になると地域に与える影響というのはとても大きい。 特に今回、福徳岡ノ場というのは100年に1回ぐらいの大規模噴火なんです。噴煙も16km近く、成層圏近くまで届いている。こういうことが起こったときに、かなり自然への影響というのは相当に出てくるということは、やっぱり考えておくべきでしょう
死者は500人近く…1888年の磐梯山噴火
こうした遠く離れた海底火山だけではなく、福島県内には注意が必要な火山がある。 1888年の磐梯山噴火では、多くの医学生が駆け付けたことなどから「ボランティアの先駆け」とも言われている。 東京大学大学院客員教授 防災マイスター・松尾一郎さんは「磐梯山の噴火は、2021年に噴火した福徳岡ノ場の規模と変わらないくらいの規模であったと」話す。 磐梯山は、歴史的にも何回も山体崩壊を起こす火山で、当時の噴煙・火山灰の被害は福島県の中通りや浜通りにも。亡くなった人も500人近くに及んだ。 幕末の混乱から復興する中での噴火災害で、福島県への影響は長期間で広範囲であったと考えられる。 防災マイスターの松尾一郎さんが、福島・北塩原村の「磐梯山噴火記念館」を訪ねた。 東京大学大学院客員教授 防災マイスター・松尾一郎さん: こちらの施設というのは、そもそも国か行政の取り組みですか? 磐梯山噴火記念館・佐藤公館長: いいえ。実は私の叔父が当時、村の議長をやっておりました。噴火100年が近づく中で、地域の人たちに火山のことを知ってもらう施設が必要だろうと、村に働きかけても「予算がないよ」で終わってしまったので、「それだったら私が作ろう」ということで叔父が 東京大学大学院客員教授 防災マイスター・松尾一郎さん: ということは、私財を投げうって作った施設ですか?
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気候変動は拡大し、加速し、深刻化している (2021年8月9日付 IPCC プレスリリース・日本語訳) | 国連広報センター (unic.or.jp)
加速する温暖化
報告書は、今後数十年のうちに1.5°Cの地球温暖化を超える可能性について新たな推計を提供しており、温室効果ガスの排出を直ちに、急速かつ大規模に削減しない限り、温暖化を1.5°C近くに抑えるどころか、2°Cに抑えることさえ現実的でなくなることを明らかにしています。
報告書によると、1850-1900年以降の約1.1°Cの上昇は、人間活動による温室効果ガスの排出に起因し、今後20年間で、平均すると世界の気温は1.5°C上昇に到達するか、または超えると予想されています。この評価は、温暖化の歴史的推移を評価する観測データセットの改善と、人為的な温室効果ガス排出に対する気候システムの反応に関する科学的理解の進歩に基づいています。
「本報告書は実態の把握と言えます。今私たちは、過去、現在、そして将来の気候をはるかに明確に把握しています。これは、私たちがどこに向かい、どう対応でき、どのように備えることができるのかを理解する上で不可欠です」ヴァレリー・マッソン=デルモットIPCC第1作業部会共同議長はこのように述べています。
あらゆる地域が変動の増大に直面
気候変動の多くの特徴は地球温暖化の進行度に直接依存していますが、人々が経験することは、多くの場合、地球の平均からは大きく異なります。例えば、陸地の温暖化は地球の平均より進んでおり、北極圏では2倍を超えています。
「気候変動はすでに地球のあらゆる地域に複数の形で影響を及ぼしています。私たちが経験する変化は、温暖化が進むにつれて増えていきます」こう語るのは翟盘茂(ジャイ・パンマオ)IPCC第1作業部会共同議長です。
報告書は、今後数十年のうちに気候変動がすべての地域で増大すると予測しています。地球温暖化が1.5°Cに達すると、熱波の増加、暖候期の長期化、寒冷期の短期化をもたらします。地球温暖化が2°Cに達すると、猛暑によってより頻繁に農業と健康の耐性の臨界に到達することになると報告書は述べています。。
しかし、これは気温だけの問題ではありません。気候変動は、様々な地域で多様な変化をもたらしており、いずれの変化もさらなる温暖化によって増加します。これらの中には、例えば以下のような降水と乾燥、風、雪氷、沿岸地域と海洋の変化が含まれます。
- 気候変動によって水循環が高まっています。そのため、降雨とそれに伴う洪水がより激しくなり、多くの地域で干ばつが深刻化したりします。
- 気候変動が降雨パターンに影響を及ぼしています。高緯度地域では降水量が増加する可能性が高い一方、亜熱帯地域の大部分では減少すると予想されます。雨期の降水量の変化も予想されますが、これは地域によって異なります。
- 21世紀を通して沿岸地域での海面上昇が継続し、低地における沿岸洪水と、海岸浸食がさらに頻繁かつ深刻になります。従来は100年に1度の頻度で発生していた海面水位の異常な現象が、今世紀末までに毎年発生する可能性があります。
- 温暖化がさらに進むと、永久凍土層の融解、季節的な積雪の減少、氷河と氷床の融解、夏季における北極圏の海氷の減少が進みます。
- 水温上昇、海洋熱波の頻度増加、海洋の酸性化、酸素濃度の減少を含む海洋の変化は、人間による影響と明確な関連があります。これらの変化は、海洋生態系とそれに依存する人々の双方に影響を及ぼし、このような変化は少なくとも今世紀を通して継続します。
- 市街地では、気候変動の一部の側面が増幅される可能性があります。これには、熱(通常、都市部はその周辺部よりも高温)、豪雨現象による洪水、沿岸都市における海面上昇が含まれます。
第6次評価報告書は、気候変動のより詳細な地域別評価が初めて提供しています。リスク評価や適応、その他の意思決定に資する有用な情報に焦点を当てるとともに、気候における物理的変化(暑さ、寒さ、降雨、干ばつ、降雪、風、沿岸洪水など)が社会と生態系にどのような意味を持つかを理解する助けとなる新たな枠組みなども提供しています。
この地域別情報は、新たに開発したインタラクティブ・アトラス(interactive-atlas.ipcc.ch)、地域別ファクトシート、技術概要、および根拠となる報告書において詳細を探索することができます。
過去と将来の気候に対する人間の影響
「地球の気候が変動していることはこの数十年明確でした。また、気候システムに及ぼす人間の影響の役割に議論の余地はありません」とマッソン=デルモット氏は述べました。しかし、新たな報告書は、原因を特定する科学における大きな進展も反映しています。すなわち、極端な熱波や豪雨現象など、特定の気象および気候事象の深刻化において気候変動が果たす役割を理解することを示します。
報告書はまた、人間活動が依然として将来の気候の成り行きを左右する可能性があることも示しています。二酸化炭素(CO2)以外の温室効果ガスや大気汚染物質も気候に影響を及ぼすものの、二酸化炭素が気候変動の主要因であるという証拠は明白です。
「気候を安定させるには、大幅で急速、かつ持続的な温室効果ガスの排出削減、そして二酸化炭素の排出量正味ゼロを達成する必要があります。特にメタンなど、その他の温室効果ガスと大気汚染物質を制限することが、健康と気候の両面に恩恵をもたらす可能性があります」と翟氏は語りました。
さらに詳しい情報については、下記にお問い合わせください。
IPCC Press Office
メール:ipcc-media@wmo.int
電話:+ 41 22 730 820
Katherine Leitzell
メール:katherine.leitzell@ipcc.ch
Nada Caud(フランス語)
メール:nada.caud@universite-paris-saclay.fr
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編集者向け注記
『気候変動2021:自然科学的根拠』- 気候変動に関する政府間パネル第6次評価報告書への第1作業部会からの報告
第1作業部会の報告書は、気候科学における最新の進歩をまとめ、古気候、観測、プロセスの理解、世界的および地域的気候シミュレーションから得られた一連のエビデンスを組み合わせて、気候システムと気候変動に関する最新の物理的理解を取り上げています。報告書は、気候がこれまで変動してきた過程とその原因、異常事象を含むより幅広い範囲の気候の特徴に人間が及ぼす影響に関する理解の深化を示しています。気候リスク評価に利用可能な地域情報により大きな焦点が当てられます。
第6次評価報告書(AR6)への第1作業部会からの報告の、政策決定者向け要約と追加的資料・情報は、https://www.ipcc.ch/report/ar6/wg1/ でご覧になれます。
注記:報告書は当初、2021年4月に発表予定でしたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、IPCCを含む科学界における作業がオンラインに移行したため、数カ月の遅れが生じました。IPCCがその報告書の1つについてオンラインによる承認セッションを開催したのは、今回が初めてです。
数字で見るAR6第1作業部会
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気候変動で、日本(JAPAN)の海洋や気候に影響が有るのか!
それが問題。
地震よりも「台風や水害」の方が怖いと思う。
来年(2022年)の日本の温度は「43℃以上」だと思うし、
熱中症や新しいウィルスの存在の方が怖い。